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木材の棚卸をしながら考えること
先日、永本建設では木材の棚卸を行いました。


写真は在庫の一部なのですが写真に写る3倍程度の木材を現在天然乾燥でゆっくりと乾かしております。
倉庫に並ぶ木材を一本一本確認していると、ふと思うことがあります。
「この木は、どこの山で育ったんだろう。」
「この木は、どんな人の手を経てここまで来たんだろう。」
私たちにとって木材は、ただの「在庫」ではありません。
一本一本に山があり、林業家がいて、製材する人がいて、家を建てる大工がいます。
だから棚卸は、木材の数を確認するだけではなく、地域の山とのつながりを改めて感じる時間でもあります。
広島県は森林に恵まれています。
広島県の森林率は約72%。
県土の大部分を森林が占めています。
そして県でも県産材の利用を積極的に進めており、公共建築物や住宅で県産材を活用する取り組みが広がっています。
しかし一方で、まだ課題もあります。
広島で育った木が県外へ出荷され、県内では別の流通の木材が使われることもあります。
つまり、
「広島の木が、広島で使われる。」
という循環は、まだ十分にできているとは言えません。
もちろん、林業や製材所、工務店、行政、それぞれが努力をされています。
だからこそ、これからはそれぞれの取り組みを「点」で終わらせず、「地域全体の循環」としてつないでいくことが大切なのではないかと感じています。
そんな中で、私がとても共感したのが、オーストリア・フォアアールベルク州の取り組みです。
人口約40万人ほどの小さな地域ですが、世界中から木造建築を学びに人が訪れています。
評価されているのは、美しい木造建築だけではありません。
山で育った木を地域で製材し、地域で加工し、地域で建てる。
そんな「地域の木を地域で使う仕組み」が、地域全体に根付いていることです。
その考え方の一つに「Holz von Hier(ホルツ・フォン・ヒア)」という取り組みがあります。
これは単に「地元の木を使いましょう」という制度ではありません。
木材がどこの山で育ち、どこで製材され、どこで加工され、どれだけの距離を運ばれて建物になったのかまで見える化し、できるだけ地域の中で循環させることを目指しています。
この州では地域材で建築されたものに関しては、施主に対しても住宅取得資金に対する補助があります。
その目的は、環境負荷を減らすことだけではありません。
山にお金が戻り、林業が続き、製材所の仕事が生まれ、大工の技術が受け継がれ、地域の経済が回っていく。
そんな仕組みを未来へ残すことです。
この話を知ったとき、
「私たちが大切にしてきたことと同じだ。」
そう感じました。
私たちは原木から木を仕入れ製材し、乾燥・加工を行い、大工が家を建てています。
効率だけを考えれば、もっと簡単な方法はあるかもしれません。
それでも、この流れを大切にしたいのは、地域の山と家づくりをつなぐ仕事だと考えているからです。
もちろん、一社だけで地域の循環をつくることはできません。
林業家の皆さん、製材所の皆さん、設計者の皆さん、工務店の皆さん、行政、そして木の家を選んでくださるお客様。
多くの人の想いがつながって初めて、「地域の木が地域で使われる社会」は実現します。
オーストリアには、その姿を実現している地域があります。
広島には、それを実現できる豊かな森林があります。
だから私たちも、広島でその一歩を積み重ねていきたい。
永本建設が目指しているのは、家を建てることだけではありません。
地域の山と暮らしが、もう一度つながる未来をつくること。
木材の棚卸をしながら、そんなことを改めて考えた一日でした。
常務

























